2021/05/13(木)

理事長便り(第19回)

            「気候正義(climate justice)」という言葉

 

最近、気候正義(climate justice)という言葉を耳にすることがあります。 日本ではまだ聞き慣れない言葉です

が、気候危機と言われる現代において、世界では、とりわけ欧米諸国では一般的に使われているようです。

主として日本を含む先進国が、石油や石炭などの化石燃料を大量消費してきたことにより、地球が温暖化し、気候

の危機を招いています。しかし、このことが原因で多発するようになった自然災害でより大きな被害を受けるの

は、化石燃料をこれまであまり使ってこなかった途上国の人たちと将来世代です。

異常気象により自然災害が多発すると、農業や漁業など天候や自然に頼った生活を営む人は、より深刻な影響を受

けてしまいます。途上国の人もその影響が大きくなります。命や生活の手段を失う機会が多いのです。先進国と比

較して、気候変動に適応する能力や資金、技術などが少ないからです。

こうした不公平さを正すことが求められ、このことを「気候正義」と呼ぶようです。

しかし「正義」は時として変化します。客観的な正義のみならず主観的正義もありますので、人によって異なるこ

ともあります。法律に反する正義さえありますので、ここで正義と訳して紹介すると、日本人にはなじまない気が

します。それでは私たちはどのように訳すと理解しやすくなるでしょうか。

「正義」をネットで調べたところ、公正、公平、公明正大、正当、妥当などとありました。

文化的な生活をおくっている一人一人が、多かれ少なかれ異常気象による災害に対して責任があることを認識し、

公平な負担を担うことでしょうか。

そこで「文化的生活」を検索してみると、「人間的生活」「人間らしい生活」などとあり、「人間としての常識や

節度を守った生活」との解説がありました。「気候正義」は、「気候危機の時代において、人間としての常識や節

度をまもることを意識して生活する責任がある」と解釈できる様です。言い換えると「環境倫理」でしょうか。

駄や過度な贅沢を慎むということになります。

「正義」や「倫理」の言葉は、何か違和感を覚える方もおられると思います。しかし、人口1億2000万人が暮ら

し、GDP(国内総生産)が世界3位の先進国である日本。地球環境に与えている負荷は決して小さくありません。

これからますます、気候正義、環境倫理という意識をもって生活し、行動する必要が高まることでしょう。

 

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